西畑さんはノスタルジアの舞台をずっと観ていたそうですね。

  
はい。客として、ほとんどの作品を観ています。

劇団ノスタルジアの印象は?

  とてもスマートだと思いました。センスがいいというか。チケットもね、前売り
  で全席指定だったでしょ、旗揚げから第5回公演まで。
  そんな劇団、和歌山に他にはないですよね。
  いつも満席で立ち見が出てるし。芝居の内容も、すごく都会的ですよね。

そして今回、そのノスタルジアの舞台に立つわけですが。

  ちょっと縁があって前回の「Relater」の時に、スタッフとして舞台のビデオ
  撮影や、会場整理などをやったんです。本当はね、舞台に出ないかという
  お話もいただいてたんですけど、スケジュールが合わなくて。本番の舞台を
  観て「出たらよかった!」って。ホント、悔しい思いをしました(笑)。
  だから、今回は絶対に出ると決めていました。

稽古をやっていてどうですか。

  違うんですよね、観るのと実際にやるのとは大違いです。

例えば?

  まず、スピードに戸惑いました。セリフの喋るスピードがとても速い。
  もちろん、カラダのキレも要求される。客席から観ていると、そのスピード感が
  心地いいんだけど、自分でやってみると、どうも不自然な演技に思えてしまう。
  でね、言われたんですよ、主宰に。
  「役者の自己満足による演技とお客さんが観たい演技は違うんだ」って。

そういえば岡崎は「表現方法はいくらでもある。セオリーの演技だけじゃ、
つまんない」ってよく口にしますよね。


  セオリーの演技は、たぶん、わかってるんですね、主宰は。それをわざと壊し
  て、もっと違う表現を創ろうとしている。
  だから、何でもアリなんですよ。お客さんにちゃんと伝わるならどんな表現を
  してもいいんだなって。それに気付いてからはラクになりました。

共演のみなさんは、どうですか。

  ノスタルジアの役者は、みんな個性が強いです(笑)。
  役者としての主宰も結構、クセがありますよね。テンポとか間とか、独特の
  リズムを持っている。でもね、ずっと舞台を観てて、主宰はあまり器用な
  役者じゃないと思ってました。

つまり、岡崎はヘタだと。

  いえいえ(笑)。演技に幅がないと、あれっ、一緒か(笑)。主宰は、演出を
  するのに、自分で演じて見せることが多いわけですが、すごいですよ。
  どの役でも即座に何パターンでも演じることができる。だから聞いてみたん
  ですよ。そんなに器用なのに、どうして舞台で、それを出さないのって。

どうしてなんですか?

  
「主役をやれる男優がいないから、おれがやらないと仕方ないだろう。
  主役って、あまり遊べないんだよ。真澄、次の舞台はお前が主役をやれ。
  おれは脇で遊ぶから」ってことでした(笑)。

今回の舞台について。

  ぼくの三枚目ぶりが見どころです。こんなこと言うと、三枚目をやりたい主宰
  に役を代われって言われそうだ(笑)。

                                     (取材・文 nick)




戻る